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内容更新日:2002.04.05.
レイアウト更新日:2023.06.25.


 個人的な意見

   [1] 現在の25点ラリーポイント制バレーボールについて

      正直に申し上げると、「面白くない」です。昔の15点サイドアウト制のバレーの大会が
     あっても良いと思っています。
      私は30年近くプレーを続けている、根っからのバレー狂です。プレーヤーの立場から
     見て、ラリーポイントのバレーボールではバレーボールをしているという実感がありま
     せん。またいろいろな場でいろいろなレベルのチームの選手達の意見を聞いてみても、
     今の25点ラリーポイント制バレーボールに心から賛成している人には出会ったことが
     ありません。私がラリーポイント制バレーボールに対して感じていることは、

       (1) 25点の試合の「幅」がありながら、実際は2〜3点の範囲でしか戦えいない。
          「重箱の隅っこをつつくような」試合では見る方もやる方も興味が失せて当然で
          ある。昔の15点サイドアウト制は、0−14からでも逆転が可能だった。15点の
          「幅」をめいいっぱい使ったスケールの大きな試合ができた。ミュンヘン五輪の
          ブルガリア戦の大逆転も、その前の男子日ソ対抗の「第5セット8−14からの
          逆転勝利」も、サイドアウト制だったからこそできたのだ。それを期待できるから
          こそバレーボールは人気が高かったのだ。今のバレーボールにそれを期待
          することはできない。ここに、最近のバレーボール人口の激減の最大の原因が
          あると思う。

       (2) あきらめが早くなった。地方の大会を見ていても、4〜5点離されるとあきらめ
          ムードがはっきり表われる。今のルールであきらめるなという方が無理だろう。
          最近の選手は「根性」がなくなったとも言われるが、今のルールで根性が育つ
          わけもないだろう。これでいいのだろうか。

       (3) 試合時間が極端に短くなった。実際、どんなにせった試合でも20分あれば
          1セット終わってしまう。地方で試合をしている我々にとっては、3セットやっても
          1時間で1試合が終わってしまう。テニスなどは、国際大会などを見ていても
          せった試合になれば3時間4時間はざらである。今の人はスタミナがないと言っ
          ても、バレーボールは技術だけでするものではない。技術、精神力、スタミナ、
          パワー、それらの総合力が問われるのである。現在のバレーボールは、昔と
          比べて技術的には濃いものになった(多分、ミスが許されなくなったことを指して
          いるのだろう)と上の方では言っているようだが、私の目から見ると、総合力
          ではなく技術とパワーだけになってしまったように見える。

       (4) 一言で言うと「人間味がなくなった」。ラリーポイントになったことで、ミスが許され
          なくなった。サイドアウト制の時代は1つのミスがあっても、次にそれを取り返す
          ことができた。今は全て失点につながる。人間である以上、ミスは付き物である。
          そしてそれをカバーし得るのも人間である。確かにトップレベルの世界ではミスは
          許されないかもしれない。それでも人間のなせる業であるはずだ。野球だって
          テニスだって、最終的に判定を下すのは主審の眼である。本当に「正しい」
          判定を出そうとするならば、全て機械(コンピュータ)の眼に委ねられるはずで
          ある。それが今だに人間の眼によってなされるということは、プレーヤーも人間
          なら審判も人間、人間である以上ミスは起こるという暗黙の了解とそういう人間
          同士の信頼関係の上にスポーツが成り立っている証であると思う。ネット・イン・
          サーブのことも、おそらくわずかな接触では主審しかわからない、それでは見て
          いる人には分らないしプレーヤーも不満だ、触っても入れば誰の目にも明らか、
          ということでそうなったのであろうが、それではあまりに人間性を欠いてはいない
          だろうか。審判・プレーヤー・観客の間の人間としての信頼関係を無視した
          やりかたではないだろうか。

       (5) 弱くても点数が入る。点が取れると自分達が強いと錯覚を起こしてしまう。
          (見てくれの強さを鼻にかける人達が出て来る。)バレーボールは、格好良さで
          するものではない。

   [2] ネット・イン・サーブについて

      どうしてこんなルールができたのだろうか。テニス、バドミントン、卓球、どの球技を見
     てもネット・イン・サーブは「やり直し」である。なぜか。プレーをする者の立場から言うと、
     ネットにかかって相手が取りにくくなったサーブは、打った側から見ても「ずるい」という
     感覚がある。「フェアじゃない」のである。ゲーム中にネットにひっかけても、ゲームの
     流れをやり直すわけには行かないからインとするが、ゲーム(1ボール・ゲーム)の最初
     であるサーブくらいはクリアに入れたいというのはスポーツマンとしての性である。
     ネット・イン・サーブのルールは、スポーツマンとしての自覚を踏みにじってはいないだ
     ろうか。だとしたら、バレーボールの人気が落ちて当然だろう。ちなみに私は、バレー
     ボールを始めた頃からサーブを最大の武器として使って来た人間である。そんな自分と
     しても、ネットにかかったサーブが入って決まってもちっとも嬉しくはない。根本的に
     「失敗」サーブなのだから。

   [3] リベロ制について

      リベロは背の小さい者にバレーボールに参加するチャンスを与えたと言うが、私は
     かえって、バレーボールをさせてもらえない場しか与えてもらえなくしてしまっていると
     思う。その理由は一つに、攻撃的なプレーを禁止されている事。日本人である事、背が
     小さい事は、手先が器用であるという事だ。そういう者が最も得意とする独特の無回転
     変化球サーブをまず奪われた。また、私はレシーブは常に攻撃的でなければならないと
     思っている。チャンスがあればいつどこからでも打って決めてやるぞ、そういう心持ちが
     なければレシーブというのは成功しない。アタックを奪われるということは、そういう攻撃
     的な精神を奪われるということである。我々のように昔から、背の高い者には負けたく
     ないと背は小さくてもアタックを打ち続けて来た者であれば、リベロに入っても攻撃的な
     レシーブを実践できるかもしれないが(それとて、いつまで続くか)、リベロだけで育って
     きた選手にはできるはずがない。これではバレーボールのなんたるかを知れるはずも
     なかろう。今一つの理由は、場面によってはオーバーハンドのパスを禁止されている
     事。このため、オーバーかアンダーかを迷う時は全てアンダーでやればよいということ
     になってしまう。バレーボールの基本は、1にも2にもオーバーハンド・パスである。
     リベロのこの部分に関するルールは、背の小さい者にバレーボールの基本を勘違い
     させる、つまり本当のバレーボールを行うチャンスを失わせる行為であると私は思って
     いる。もしこのリベロ制を改めるとすれば、リベロは単純にバック・プレーヤーとして
     機能させれば良いだろう。交代する予定の選手がバックにいる間にコートに入るのは
     現行通りとして、サーブは交代前の選手が打っても良いしリベロが打っても良い、
     バック・アタックも可、フロント・ゾーンでのプレーはアンダーハンドなどというルールは
     廃止する。こうすれば背の小さい者でも、一通りのバレーボールが許される事になる。

   [4] オーバーハンドのレシーブ(ドリブル反則を取らない事)について

      この点に関しては、私は大いに賛成である。自分はサーブを武器としている手前、
     レシーブ側に有利となるこのルールは自分にとっては不利益であるが、自分がレシー
     ブ側になる場合も当然あるわけで、どうしても攻撃側有利となりがちな男子バレーでは
     守備側にプレーの幅を広げるという意味で大変結構な事だと思う。ただ、ある監督さん
     が指摘していた事だが、サーブはなるべくアンダーで受けた方が、セッターまでの
     距離が長くなる分、セッターに余裕ができて良いそうである。この事は心しておいて
     よいと思う。

連絡先について  ※ 2002年4月2日よりメール・アドレスが変更になりました。

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   [追記]

      昔の15点サイドアウト制のバレーボールを、やりませんか?
     ママさんバレーの9人制も、日本独自のルールだと聞きました。15点サイドアウト制
     バレーが日本人に合っているのなら、日本だけでもいいじゃありませんか。上の方で
     やらないと言うなら、地方だけでもいいじゃありませんか。我々は自分達のための、
     自分達が一番楽しめるバレーがやりたいんです。自分達が楽しくてしかたがない
     そんなバレーを見れば、きっと応援してくれる人も増えると思うんです。